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医師会ニュース 平成30年4月1日

子どもたちを受動喫煙の害から守りましょう

 タバコの煙には、吸っている人自身が吸い込む主流煙と、火のついたタバコから立ち上る副流煙とがあり、この副流煙を好むと好まざるとにかかわらず吸わされてしまうことを受動喫煙ということはご承知のことと思います。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、国はIOC(国際オリンピック委員会)から受動喫煙対策を求められ、国会
での審議が続いています。厚生労働省は、特に子どもなど20歳未満の者・患者等は受動喫煙による健康影響が大きいことを考慮し、こうした方々が主たる利用者になる施設や屋外について、受動喫煙対策を一層徹底する、としています。
 喫煙そのものはがんや肺気腫の原因になる、ということは皆さんご存知の事実ですが(未だに否定する方もおられますが)、受動喫煙もそんなに危険なものなのでしょうか。一般的に、副流煙の発がん物質含有量は主流煙の3~4倍以上もあるとされています。そんな副流煙を吸う受動喫煙者は大変危険です。締め切った部屋でお父さんが10本のタバコを吸うと、同じ部屋にいる子どもさん自身は吸っていなくてもタバコを1本吸ったと同じことになるそうです。さらに最近はサードハンドスモークの問題もあります。喫煙室のカーテンや壁紙、喫煙者の衣服、毛髪などに付着したタバコ煙、さらには喫煙者が吐く息に含まれるタバコ煙(タバコを吸うとその後約40分間は吐き続けていると言われています)による受動喫煙です。子どもさんがいる部屋では吸わなくても、換気扇の下で吸っても、ベランダでホタル族しても、衣服をすべて着替えて、髪の毛を洗い、40分以上経ってからでないと子どもさんやご家族の受動喫煙を完全に防ぐことはできないのです。
 では、厚労省がいう「特に子ども」の受動喫煙はどれほどよくないのでしょうか。小さなお子さんがよくかかる気管支炎でみますと、ご家族全員が非喫煙者であれば100人中1.7人がかかるとされていますが、お父さんがタバコを吸う家庭では100人中3人、一緒に過ごしていることの多いお母さんが吸っていると100人中4.9人が気管支炎になるというデータがあります。また、受動喫煙ではありませんが、14歳未満からタバコを吸っていると50歳を超えた時点で肺がんになる確率は非喫煙者の4.25倍に上るとされています。
 子どもたちの健康を守ること自体、もちろん大切ですが、これからはますます少子高齢化の時代となっていき、今の子どもたちが働き盛りになる2050年ころには高齢者1人を労働世代1人で支える肩車型になります。(現在は約3人で支える騎馬戦型です)。その支え手たちが元気であるためにも、今の子どもたちの健康を守らなければなりません。

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