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医師会ニュース 平成29年7月1日

正岡子規の命を奪った結核

柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺

今年はこの句の作者正岡子規の生誕150年だそうです。「子規」は「ホトトギス」のことですが、子規はなぜこれを俳号としたのか。実は子規は結核を患っており、喀血して口の中が血で染まった自分を、くちばしの中が赤いホトトギスと重ね合わせて、そのように名乗ったのです。そういえば昔、縁日の「のぞきからくり」の「不如帰(ホトトギス)」で♪鳴いて血を吐くホトトギス~♪なんてのがありましたねぇ~、って団塊の世代以上でないとわからないでしょうが、、、。ちなみに私は団塊の世代より少しだけ若いです。
――― 横道に逸れました。子規の時代の結核は「死に病」とされ、子規も35歳で亡くなりました。ほかにも国木田独歩(37歳)、樋口一葉(24歳)、青木繁(29歳)、石川啄木(26歳)などなど、皆若くして結核で亡くなっています。明治32年に結核の死亡統計が行われるようになってからも結核死はどんどん増え、大正7年にピーク(人口10万人あたり253.2人)を迎えました。現在(平成27年)は人口10万対1.3で、当時の1000分の5ほどにはなっていますが、今なお毎日4.5人が結核で亡くなっていることになります。また新たに結核と診断された人は人口10万対14.4(毎日50人発症)で、先進国の中ではまだまだ高く、世界から見ればまだ「中等度の蔓延国」扱いをされています(低蔓延国の基準は人口10万対10以下)。奈良県では16.6人(10日で6人発症)で日本全体のワースト5位です。特に60歳以上の新規発病者が多く、奈良県全体の70.4%(70歳以上に限ると57.5%)を占めています。全国的には58.3%(同45.2%)ですから、奈良県ではいかに高齢者の結核患者さんが多いかがお分かりになると思います。
結核はほとんど症状がないこともありますから少なくとも毎年1回は検診を受けましょう。職場での検診のほか、自営業の方や高齢者の方々は市町村の肺がん検診でもいいです。肺がんだけでなく、結核も見つけてもらえます。そして、もし、2週間以上も続くような咳、痰などがあれば胸部レントゲンを撮ってもらうようにしましょう。早期に発見しないと周りの人々に結核を広げることにもなりかねません。

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