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医師会ニュース 平成22年7月1日

仕事に熱中して「熱中症」にならないために

 蒸し暑い梅雨の季節になりました。梅雨時から夏の終わる頃までは熱中症が起こりやすい時期です。熱中症は、高温多湿な環境で、体内の水分が不足したり塩分のバランスが崩れるなど、体内の調節機能が破綻したときに起こります。職場によっては一般の環境よりも高温多湿の場所が多かったり、業務に従事する人々が労働者自身の症状に合わせて休憩等を取りにくかったりすることで熱中症が発生しやすくなります。

 熱中症を生じやすい典型的な作業は、作業を始めた初日に身体への負担が大きく、休憩を取らずに長時間にわたり連続して行う作業です。加えて、通気性や透湿性の悪い衣服や保護具を着用して行う作業では、汗をかいても体温を下げる効果が期待できず、熱中症が生じやすくなります。高齢者や肥満の人、暑さに慣れていないひと、心臓病・糖尿病・精神神経疾患などの持病を持っている人は特に注意が必要です。

 以下、熱中症についての要点を箇条書きしました。

こんな日、こんな環境は要注意!

・作業初日・2日目(熱中症による死亡者の約3分の1が作業初日)

・気温が高い(28℃以上)、湿度が高い

・風が弱い、日差しが強い

・照り返しが強い、輻射熱が強い

・昨日まで涼しかったのに急に暑くなった

こうして熱中症を予防しましょう!

・夜更かし、深酒を避けて体調を整えておく

・適切な水分補給(仕事に出る前、のどが渇く前に150ml程度の水分を摂る)

・水分はスポーツドリンクか塩水(1Lの水やお茶に2gの塩分)がよい

・暑い日の作業では、できるだけ休憩を増やし、日陰に居るようにする

こんな症状があれば熱中症を疑いましょう!

・眩暈、立ちくらみ、こむらがえり、ふいてもふいても出てくる汗(重症度Ⅰ度)

・頭がガンガンと痛む、吐き気、嘔吐、体がだるい(重症度Ⅱ度)

・意識がない、呼びかけに対し返事がおかしい、体がひきつける、まっすぐ歩けない、高体温、皮膚乾燥(重症度Ⅲ度)

熱中症になったら、F・I・R・E!

・F(Fluid):液体(スポーツドリンク、塩水)の摂取。自分で飲めなければ至急医療機関を受診し点滴をしてもらう

・I(Ice):体の冷却:衣服を脱がせる、冷えた缶ジュースなどで首筋・腋の下・足の付け根など大きな動脈が触れる部位を冷やす、水を口に含んで体に吹き付ける、濡らしたタオルを体に貼り付け扇風機などで冷やす、など

・R(Rest):涼しいところで休ませる、自動車に乗せてクーラーで冷やす

・E(Emergency):意識障害があったり水分を飲めないなど重症な状態なら救急車を呼ぶ

みんなで予防しましょう!

・作業開始前に健康状態を確認しましょう

・お互いの健康状態に注意し合いましょう

・現場の管理・監督者は作業者の状態の変化を見逃さないようにしましょう

・作業者は体調がおかしいと思ったら遠慮せずに申し出ましょう

(参考資料:環境省編:熱中症環境保全マニュアル2009ほか)

 

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